绘本童话:屈斜路湖岸边的传说(北海道篇)
这是一则北海道弟子屈町的童话传说。讲述了在一个小小的森林里,一头雄鹿成长的经历。大恶熊恃强凛弱、横行霸道,杀死小动物,使得人人畏惧,破坏了森林的宁静生活,雄鹿为了替伙伴们报仇,苦练功夫,最终打败了大恶熊。看似简单易懂的小故事里,蕴藏着丰富的人生哲理:在弱肉强食的社会中,想要立足的唯一方法就是让自己变得更强大。
屈斜路湖の岸辺で ——北海道弟子屈町のお話
在屈斜路湖的岸边 ——北海道弟子的传说
文 马渕 悟 图 牧野 宏志
北海道の屈斜路湖に厚く張りつめていた氷も、ようやくとけ始めました。寒い冬をたえてきた木々も、少しずつ若い芽をつけ始めています。北国の遅い春が、ようやく訪れようとしています。
北海道的屈斜路湖上厚厚结着的冰,终于开始融化了。经受过寒冬的树木,也开始一点一点萌发新芽。北方迟来的春天,也终于要来访咯。
湖の岸辺から、少し奥へ入った森の中に、鹿の巣があります。お母さん鹿に暖かくくるまれて、産まれたばかりの子鹿がおっぱいを飲んでいます。お母さん鹿は、赤ちゃん鹿がかわいくてかわいくて、べろべろなめてあげます。「クッシン。さあ、たくさんおっぱい飲んで、強い牡鹿になるんですよ」
从湖边稍稍往里走,在森林里有鹿群聚集的地方。鹿妈妈把刚刚出生的鹿宝宝裹在暖暖的怀里喂奶。鹿妈妈非常疼爱鹿宝宝,轻轻地舔舐着他。“酷酷君,呐,多喝点,要成为强大的雄鹿哦!”
春の森の中を、クッシンが走っています。でも、まだうまく走れないので、時々転んだり、木にぶつかってしまいます。お母さん鹿は、そんなクッシンを、ニコニコ見守っています。クッシンは、ぐんぐん大きくなっていきました。
在春天的森林里,酷酷正尝试着奔跑。可是,他还不能很好地奔跑,不时地摔倒、不时地撞到树。鹿妈妈微笑着照看着那样的酷酷。不久,酷酷就长大了。
「やあ、君はだれだい」ある日、クッシンは一匹の雌の子鹿に出会いました。「私は、
シャーロよ、あなたはだあれ」「ぼくは、クッシン。森の王様になるんだ」
“嘿,你是谁?”有一天,酷酷遇到了一头小雌鹿。“我是洛洛,你是谁?”“我是酷酷,会成为这个森林的国王。”
クッシンとシャーロは、仲の良い友だちになりました。ある日、クッシンとシャーロが森の中を歩いていると、数匹の子鹿が一匹の子鹿を取り囲んでいました。「おい、お前のかあさんは、どうしたんだよ」「お前は、お父さんもいない、お母さんもいないみなしごなんだろ。あんまりえらそうにするなよ」
酷酷和洛洛成为了好朋友。有一天,酷酷和洛洛在森林里散步,看到好几头小鹿包围着一头小鹿。“喂,你妈妈呢?”“你是没有爸妈的孤儿吧。别那么拽!”
「それが悪いか。ぼくはひとりでも生きていけるんだぞ」「だからなまいきなんだよ。お父さんも、お母さんもクマのガンゴに食われたくせに」「ぼくを、助けるために食われたんだぞ」その子鹿は、勇敢にもいじめる子鹿たちに体当たりしていきました。
“那又怎么样!我一个人也能活下去!”“别那么狂妄!你的爸妈都被大恶熊固固给吃了!”“是为了救我才被吃的!”那头小鹿,勇敢地对抗着欺负人的小鹿们。
子鹿たちは、激しくぶつかり合い、けとばし合いました。いじめられていた鹿は、何匹もの子鹿をたおしましたが、だんだん追いつめられてきました。
小鹿们激烈地互相撞击着、踢踹着。被欺负的小鹿想要那几头小鹿,但是渐渐被逼得走投无路。
とうとう、すわりこんでしまった一匹を、いじめっ小の子鹿たちが取り囲み、みんなでけろうとしました。「待て、ひきょうだぞ」クッシンは、思わず飛び出すと、けろうとしている子鹿たちに体当たりしました。
最终,倒下的那头小鹿,被欺负人的小鹿们围了起来,准备一起踢它。“慢着,你们真卑鄙!”酷酷不由得跳了出来,用身体冲撞着想要踢人的小鹿们。
クッシンは、あっというまにいじめっ子の鹿たちをやっつけてしまいました。「おおぜいで、たった一匹をいじめるなんて、はずかしいぞ。二度とするな」クッシンは、みんなに言いました。
酷酷不一会儿就把那些欺负人的小鹿都了。“这么多人欺负一个,太可耻了!别再这样了。”酷酷对着大家说。
「助けてくれて、ありがとう。ぼくはベンジーだ」「ぼくは、クッシン、君はえらいんだな。一人で生きているんだ」「なーに、大したことないさ。それより、クッシンは強いんだね。きっと森の王様になれるさ」こうして、クッシンとベンジーは仲良しになりました。
“谢谢你救了我。我是琪琪。”“我是酷酷,你很厉害哦,一个人生活呢。”“其实没什么大不了的。比起这个来说,酷酷真厉害,一定能成为森林里的国王。”就这样,酷酷和琪琪成为了好朋友。
いつのまにか、やさしいクッシンは森の人気者になりました。森の中で遊んでいると、友だちはどんどん増えました。同じ子鹿たち、エゾリス、フクロウ、アカゲラ、みんな仲良しでした。ここは、平和な森なのです。
不知不觉间,温柔的酷酷成了森林里的大红人。一到森林里玩,朋友也越来越多。还有其他小鹿、松鼠、猫头鹰、小鸟,大家都成了好朋友。这里,是和平的森林。
夏が過ぎ、秋が来ました。木の葉は赤や黄色に色づき、その色が湖にくっきりと写っています。クッシンは、もうりっぱな角をもち、力も強く、たくましい若鹿に成長しました。ベンジーとシャーロも、もうりっぱな若鹿になって、いつもクッシンといっしょです。
过了夏天,秋天到来。树上的叶子染上了红色和黄色,在湖里清晰地倒映出来。酷酷已经有了壮美的犄角,力气也变大了,长成了强健的年轻鹿。琪琪和洛洛也成了出色的年轻鹿,总是和酷酷在一起。
森に、冬が近づいてきました。動物たちは、長い冬に備えて、エサをたくわえたり、
おなかいっぱい食べたり、冬の準備にいっしょうけんめいです。
森林里,冬天快要来临了。动物们为了要渡过漫长的冬季,贮存食物,吃饱肚子,努力为过冬准备着。
「ガオーッ、ガオーッ」その時です。森にクマのうなり声がひびきわたりました。冬眠前に、クマのガンゴがエサを腹いっぱい食べようと森にやってきたのです。もう、一匹の鹿が、ガンゴに倒されてしまいました。
“嗷——嗷——”就在这个时候,森林里响起了熊的嚎叫声。大恶熊固固为了在冬眠前饱餐一顿,来到了森林里,已经有一头鹿遇害了。
「ガンゴだ!お父さんとお母さんを殺したのはあいつだ。やっつけてやる」ベンジーは、ガンゴに向かっていこうとしました。「止めろ、ベンジー。無理だ。あいつは、森一番の力持ちだ」クッシンもシャーロも必死に止めました。
“是大恶熊!就是那家伙杀了我的爸爸和妈妈。我要报仇!”琪琪要去找大恶熊。“别去,琪琪,你不可能打败他。大恶熊是森林里最强大的!”酷酷和洛洛拼命阻止琪琪。
けれども、ベンジーは聞きません。まっしぐらに、ガンゴに向かって突きかかっていきました。「よくも、お父さん、お母さんを殺したな。ぼくが仕返ししてやる」「何をなまいきな。お前も食ってやるさ」ガンゴは、前足でベンジーをはねとばしました。
然而,琪琪没有听取劝阻,向着大恶熊勇猛地冲了过去。“你竟敢杀了我的爸爸妈妈,我要报仇!”“你小子说什么呢!把你也吃了!”大恶熊用前腿把琪琪踢飞了。
倒れたベンジーを見たクッシンは、思わずガンゴの背中に角を突き立てました。「ベンジー、逃げろ」「何だ、こぞう。じゃまするな」振り向きざまにガンゴ殴りつけられたクッシンは、ふきとばされてしまいました。
酷酷看到被踢倒的琪琪,想也没想就用犄角向大恶熊的背上刺过去。“琪琪,快跑!”“臭小子,别妨碍我!”大恶熊转过来对付酷酷,酷酷被在地。
ガンゴになぐり飛ばされて気を失っていたクッシンが気づくと、ベンジーとシャーロが倒れていました。2匹とも、死んでいました。「ベンジー、シャーロ、ベンジー、シャーロ」クッシンは、あきらめきれずに2匹に向かって叫び続けました。
当被大恶熊打昏的酷酷醒来时发现,琪琪和洛洛已经倒在地上,他们俩都死了。“琪琪!洛洛!琪琪!洛洛!”酷酷不死心,不停地朝着他们呼喊着。
「許せない。ガンゴめ。ぜったいにガンゴを倒す」クッシンは、涙をふるって立ち上がりました。「クッシン、頼むよ。あいつがいたら、この森に安心して住めないよ」リスや小鳥たちも、クッシンに頼みました。
“绝不原谅!大恶熊!我一定要你!”酷酷擦干眼泪,重新振作。“酷酷,拜托你了,有大恶熊在,这个森林就无法安心居住。”松鼠和小鸟们也向酷酷恳求着。
クッシンは、その日から大きな木に向かって、力一杯ぶつかり続けました。何度も何度もぶつかりました。頭はキズだらけになり、いつも血が流れていました。でも、ベンジーやシャーロのことを思えば、クッシンは痛いとさえ感じませんでした。
酷酷从那天开始,就全力地不停地撞击着大树,无数次地练习着撞击。头上满是伤口,总是流着血也不放弃。他一想起琪琪和洛洛,就感觉不到疼痛了。
雪が降り始めました。森に冬がやってきたのです。深い雪の中、クッシンは、前足で大きな木をける練習も始めました。来る日も来る日も、頭から大きな木にぶつかり、けり続けました。「ぜったいに、ベンジーやシャーロのかたきを取ってやる。必ずガンゴを倒す」クッシンは、ただそれだけを考えていたのです。
下雪了。森林里的冬天又来了。在深埋的雪地里,酷酷用前腿开始练习踢大树。日复一日地练习用头撞、用腿踢。“我一定要琪琪和洛洛的仇人!一定要大恶熊!”酷酷每天都只想着这一件事。
「もう2月だ。今ならガンゴも冬眠していて弱い。やっつけるなら、今だ」クッシンは、物知りのフクロウに言いました。「そうじゃ、あいつをたたき起こして、湖の氷の上に誘いだすと良い」フクロウは、そうクッシンに教えました。
“已经2月了。现在大恶熊也冬眠了,是他最弱的时候,能够干掉他的时机就是现在!”知识渊博的猫头鹰告诉酷酷。“然后,你把他叫醒,把他引到结冰的湖面上就好。”猫头鹰这样教酷酷。
ガンゴの巣穴は、フクロウが知っていました。フクロウに案内されたクッシンは、雪を掘り、眠っているガンゴを見つけました。「起きろ、ガンゴ」クッシンは、、眠っているガンゴに頭から突きかかりました。
猫头鹰知道大恶熊的老巢在哪里,酷酷跟着他的指引,扒开雪地,找到了正在冬眠的
大恶熊。“快起来,大恶熊!”酷酷朝着睡着的大恶熊的头狠狠地刺过去。
あまりの痛さに、ガンゴは目を覚ましました。「うるさいガキめ。おれ様に勝てると思っているのか。ちょうど腹もへっているところだ。食ってやる」ガンゴはクッシンをつかまえようとしましたが、冬眠していたので、思うように体が動きません。
大恶熊被痛醒了。“臭小鬼,你吵死了!你难道觉得自己能打赢我不成!我正好饿了,吃了你当点心!”固固想要抓住酷酷,但冬眠的状态使得它没办法自由动弹身体。
クッシンは、ガンゴをうまく誘って、屈斜路湖の氷の上にでました。「ガンゴ、お前はこれまでに、この森の仲間たちをさんざん苦しめてきた。もう、許せない」クッシンは、ガンゴに向かって叫びました。
酷酷巧妙地把大恶熊固固引诱到结冰的屈斜路湖上。“大恶熊,你这家伙至今为止让森林里的伙伴们吃了多少苦头!不可原谅!”酷酷向着大恶熊大喊道。
「なまいきなガキめ。お前に、何ができる。おれ様以上に強いとでもいうのか。さあ、かかってこい。ひねりつぶしてやる。ガオッ」ガンゴは、一声吠えると立ち上がりました。
“臭屁的小鬼,你能干什么!你觉得你比我强大?来呀,我一只手就能捏死你!嗷——”大恶熊大吼一声站了起来。
あまりの大きさに、クッシンも恐ろしくなりました。その時、クッシンの耳に、はっきりとベンジーとシャーロの声が聞こえたのです。「クッシン、ガンバレ、戦うんだ」
「クッシン、私たちの敵をやっつけて。お願い、クッシン」二人の声に励まされ、クッシンは、激しい勢いでガンゴに体当たりしていきました。
酷酷面对着庞大的固固害怕起来。正在这时,酷酷的耳边清楚地听到了琪琪和洛洛的声音:“酷酷,加油!他!”“酷酷,干掉我们的仇人!拜托了,酷酷!”受到鼓励的酷酷卯足了劲儿冲向了大恶熊。
ガンゴは、前足でクッシンをなぐろうとしましたが、足の下は氷です。足をすべらしてしまいました。そのとたん、クッシンがぶつかったからたまりません。ガンゴの体は大きく宙に舞い上がりました。
大恶熊想要用前腿打酷酷,但脚下是冰,一个不慎滑了一跤。就在这个时候,他没有抵抗住酷酷的冲撞,身体一下子被撞飞了出去。
「ドッス-ンと、ガンゴは氷の上に仰向けに倒れました」「今だ、エイッ」倒れたガンゴを見て、クッシンは、振り上げた前足で、強く氷を打ちました。
“咚”的一声,大恶熊仰面倒在了冰面上。“就趁现在!嗨!”看着倒地的大恶熊,酷酷扬起前腿,狠狠地打击冰面。
クッシンのきたえあげた強いけりで、湖の氷が動き出しました。「バリバリバリ」という、激しい音がしたと思うと、急に氷が持ち上がり、それは湖の向こう岸まで一直線に走っていきました。ガンゴは、盛り上がった氷の力で、空高くはね上げられました。
酷酷锻炼过的强硬踢打,使得结冰的湖面震动了起来。“咔哒咔哒咔哒”,发出了激
烈的声音,突然冰面隆起,一直线延伸到了湖岸的另一边。大恶熊被冰涌上来的力量高高地弹到空中。
はねあげられたガンゴは、激しく氷の上に叩きつけられ、息絶えてしまいました。クッシンは、ついにガンゴを倒したのです。
被弹起来的大恶熊狠狠地摔到冰面上,断了气。酷酷终于打败了大恶熊固固。
屈斜路湖の森に、ふたたび平和が戻ってきたのです。動物たちも小鳥たちも大喜びしています。毎冬、屈斜路湖の厚い氷は、音をたてて一直線に盛り上がります。これは、森の平和を乱すものは、必ず罰せられることを伝えているのです。
屈斜路湖的森林里,再次恢复了平静和谐。动物们、小鸟们都非常开心。每年冬天,屈斜路湖上厚厚的冰面,还会响着声音一直线地隆起来,仿佛在传达着这样一种讯息:破坏森林和平的人一定会受到严惩!
おしまい
完
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